「西方先生のアトリエ訪問記」
いえらぼ 池田雄一郎です。ブログ更新大分遅くなってしまいました。最近、「ブログを楽しみにしているよ」と何人かの方から声を掛けて頂きました。期待に応えられるように頑張って続けていきたいと思います。
さて、昨年の秋に遡りますが、秋田県能代市の西方先生(前回ブログ参照)のアトリエを訪れる機会がありました。
西方先生の所属する新住協秋田支部とモデルハウスの設計をして頂いた松尾和也氏が理事を務めるパッシブハウスジャパン(以下PHJ)が行った合同イベント(実物件の視察と意見交換会)の一つにアトリエ訪問がありました。
PHJと新住協は、どちらの団体も高断熱な省エネ住宅を普及させることを目的とした団体で、このような合同でのイベントが開催されたのは、この時が初めてでした。貴重な機会でしたので、私も片道車で5時間半という道のりでしたが、思い切って参加しました。
最初の集合場所は、築22年という西方先生のアトリエ、パッと目に付くのは綺麗にグレー色に経年変化した杉板の外壁。この杉板は、新築当時無塗装であったというから驚きです。一部白身だった部分は劣化していましたが、耐久性の強い赤身部分は、ほぼ劣化していない様子でした。これは、白太は水分と栄養素が多い為劣化しやすく、赤身はタンニンが多く含まれている為、耐久性が高いという性質の違いからきている現象です。現在、西方先生が外壁材として多用している、「秋田赤ナマハゲ杉板」は良質な秋田杉の赤身だけを使っている材です。この度弊社で施工する西方先生設計の住まいもこの材料を外装材に使用します。
そして、もう一つ目に付くのが芝屋根。伺った時はススキが生い茂っていて、建物が周りの自然と一体となって生存している植物のような、そんな印象を受けました。
一通り西方先生からアトリエについての説明を受けると、次に臥竜山の家へ。設計は西方先生、施工は池田建築店です。Q値0.64という超ハイスペックな住まいでサスティナブル住宅賞の国土交通大臣賞も受賞しています。池田さんの解説で、雨天時の工事に配慮して、外側に断熱を付加するのではなく、内側に断熱を付加したという話は、机上だけで無く、実際の経験の積み重ねからくる一工夫だと感じました。
その後は、場所を移し、新住協秋田支部とPHJの意見交換会。内容は長くなってしまうのでここでは省略させて頂きますが、とても考え深い会でした。
秋田で一泊し、次の日は施工中のQ1住宅芝置屋根3を西方先生からご案内頂きました。現場は丁度気密工事完了後の状態でしたので、施工状況等を間近で見ることができ、大変勉強になりました。伺った時はまだ芝生は敷いていませんでしたが、現在は無事竣工し、芝生も生い茂っているようです。
アトリエの完成からこれまで1つ1つ探求しつつ、設計を積み重ねていっている、その西方先生の歴史の一部を感じることのできた、印象深い視察でした。